The Chronicle of Broadway and me #1027(She Persisted, The Musical/We’re Gonna Die)

2020年2月@ニューヨーク(その9)

 オフの2作について。
 

 『She Persisted, The Musical』(2月23日10:30@Linda Gross Theater)はアトランティック・シアター・カンパニーのプロジェクト「アトランティック・フォー・キッズ」の一環で、チェルシー・クリントンの書いた(イラストはアレグザンドラ・ボイジャー)児童向け絵本「She Persisted: 13 American Women Who Changed the World」を原作に、子供たちにアメリカのフェミニズムの歴史を教える内容。

 先生に率いられて女性歴史博物館に見学に来た小学生のナオミが、タイム・スリップしてフェミニズムの歴史に足跡を残した女性たちと出会い、認識を新たにしていく。
 主人公以外が複数役を演じるというオフならではの手法も、観ている子供たちにとっては笑いの要素となって楽しい。

 作曲デボラ・ウィックス・ラ・プーマ、作詞・脚本アダム・トウビン。
 演出・振付のMK・ロウソンは、やはりこの劇場で上演された『Roald Dahl’s James And The Giant Peach』と同じで、同作品で主役のジェイムズを演じていたヘザー・ソウヤーが教師役で出演していた。
 

 『We’re Gonna Die』(2月26日14:00@Tony Kiser Theater/2nd Stage)には、このオフ公演に到る以前に少しばかり語るべき歴史があるようだ。
 まず、2011年にパブリック・シアター併設のレストラン・シアター、ジョーズ・パブで作者(作曲・作詞・脚本)のヤング・ジーン・リー自身によるソロ・ショウが上演される。次いで、リンカーン・センターの演劇用としては最小のクレア・トウ劇場で、2012年9月に4回、2013年8月に2週間ほど上演。これもリーのソロ。
 で、クレア・トウ劇場の2度目の公演に合わせて、リーのバックで演奏しているバンド、フューチャー・ワイフの作品として『We’re Gonna Die』というアルバムがリリースされる。モノローグと歌唱曲とが組み合わさったこのアルバムには、デイヴィッド・バーン(『Here Lies Love』『Joan Of Arc: Into The Fire』『David Byrne’s American Utopia』)やローリー・アンダーソンといったミュージシャンも参加している。
 2015年8月には、その発展形がロンドンのサウスバンク・センターで上演される。これは、リーのモノローグ、デイヴィッド・バーンの歌、フューチャー・ワイフの演奏という組み合わせだったという。

 その流れからの顔ぶれを一新してのオフ版。おそらく過去公演に比べて長い期間の上演になるのを意識してのことだろう。
 リー(やバーン)の代わりに歌い語るのはジャネル・マクダーモス(『A Bronx Tale The Musical』)。バックの演奏はフューチャー・ワイフではなく、一般の(?)ミュージシャン。演出・振付も、初期のポール・レイザー(演出)&フェイ・ドリスコール(振付)から、ラジャ・フェザー・ケリーに替わっている。

 主人公が語るのは、(作者であるヤング・ジーン・リーが)これまで見てきた家族や友人にまつわる苦しみのエピソード。そして、そこから紡ぎ出す微かな希望の光。そんな内容。
 モノローグ部分が長いこともあり、なかなかに重苦しい。

 当初、公演は3月22日まで予定されていたが、COVID-19の影響で他作品同様、中断を余儀なくされた。

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