The Chronicle of Broadway and me #874(How The Heck Did I Get Here?: James Monroe Iglehart/Christmas Spectacular[9]/Ride The Cyclone/The Band’s Visit/Party People)

★2016年11月＠ニューヨーク（その8）

　オフの諸作、クラブのショウ等を観た順にまとめて。
　

　『How The Heck Did I Get Here?: James Monroe Iglehart』（11月14日21:30@54 Below）について旧サイトに書いた観劇当時の感想（＜＞内）。

＜『Memphis』で注目され、『Aladdin』ジニー役でトニー賞を獲ったジェイムズ・モンロー・アイグルハートの小さなクラブでのショウ。タイトル（「一体全体ボクはどうやってここまでやって来たのか？」）通り、ブロードウェイで成功するまでの足跡を音楽的に辿る。
　かなり器用な人だという印象。まだまだ伸びしろがありそうで楽しみ。＞

　アイグルハートのその後のブロードウェイ出演は、『Hamilton』への途中参加、及び『freestyle love supreme』。

　『Christmas Spectacular』（11月15日14:00@Radio City Music Hall）について旧サイトに書いた観劇当時の感想（＜＞内）。

＜いつもの通りロケッツが素敵。この時期に行ったら観逃したくない。＞
　

　『Ride The Cyclone』（11月19日20:00@Lucille Lortel Theatre）について旧サイトに書いた観劇当時の感想（＜＞内）。

＜高校のコーラス部の男女6人が、とある遊園地のジェットコースターで事故死するのだが、不思議な成り行きで1人だけ生き返ることができる……というような話だったと思うのだが、暗い客席で大半を寝て過ごしてしまい、ほとんど覚えていない。
　開演前に劇場入口で友人たちと盛り上がっていた作者の1人（誰だ？）に求められて握手までしたのに。申し訳ない。＞

　多分に哲学的な話だったようで、そこらがよく理解できずに眠くなったのかも。

　作曲・作詞・脚本ブルック・マックスウェル＆ジェイコブ・リッチモンド。
　演出・振付レイチェル・ロックウェル。
　

　『The Band’s Visit』（11月20日14:00@Linda Gross Theater）の感想は、先行してアップしてある1年後のプロードウェイ版の方にまとめたので、そちらを読んでみてください。楽曲作者デイヴィッド・ヤズベクの業績にも触れています。
　ちなみに、このオフ版の時点で舞台は完成していて、素晴らしかった。
　

　『Party People』（11月20日20:00@Anspacher Theater/Public Theater）の「パーティ」は、おそらくダブル・ミーニング。社交的な会合と政治結社とを指すと思われる。と言うのも、かつてのブラック・パンサー党のメンバーたちが集まるという設定だから。
　党員の子供世代が、ブラック・パンサーに半ば憧れつつ、その実態に触れようと、かつての党員たちを招待してパーティを開く。そこで明らかになっていく必ずしも単純ではなかった社会変革運動と今に続く問題の数々。しかし、新たな道があるはず、と先達を、そして自らを鼓舞する若者たち。

　プレイビルにパブリック・シアターの芸術監督オスカー・ユースティスによる観客に向けてのメッセージが載っていて、その中に、「今年、過去が、ブラック・ライヴズ・マターからドナルド・トランプの支持者たちに及ぶ巨大な感情の波の中で湧き上がってきたように見えた。こうした闘いをどう解決するかが私たちの未来を作る。賭け金がこれ以上高くなることはない。」という文言があった。「過去は死んでいない。過去ですらない」という見出しの付いたこのメッセージが、この舞台を作った人々の思いを表しているのだろう。

　楽曲はユニヴァーシズ（Universes）と名乗る3人組（スティーヴン・サップ、ミルドレッド・ルイズ＝サップ、ニンジャことウィリアム・ルイズ）＋ブロークン・コード（とても本名とは思えない）。カリブ海ラテン、ヒップホップ、ゴスペル、ブルーズといった要素が混在している。
　脚本はユニヴァーシズがブラック・パンサー関係者たちへのインタビューを元に書いたらしい。彼ら3人は出演してもいる。
　演出リーズル・トミー。振付ミリセント・ジョニー。