The Chronicle of Broadway and me #951(The Gunfighter Meets His Match/Between The Sea And Sky)

2018年7月~8月@ニューヨーク(その10)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・フェスティヴァル)参加作品7本の内、残る2作品について。
 

 『The Gunfighter Meets His Match』(8月3日13:00@Acorn Theatre/Theatre Row)は、前年(2017年)11月にジョーズ・パブで観たジョイント・コンサート『Abby Payne & Chris Anselmo』の片割れ、アビー・ペインが作曲・作詞・脚本を手がけたミュージカル。ペインは劇中でサルーンのピアノ弾きを演じてもいる。

 開拓時代の西部。東部からやって来た冒険心に富んだ若い女性が、乞われて牧場主と結婚するが、伝説のガンファイターと出会って恋に落ち……みたいな話。
 主要キャストの役名が、The Girl、The Gunfighter、The Sheriff、となっているあたりに、西部劇の典型として描こうとする、ある種のパロディめいた感触があり、ギター、ベース、ドラムスにトランペットが1本加わっているのも、映画やTVの”西部劇風”音楽を狙っているのだろう。だが、その意図が全体としてどういう狙いを持っているのかは、あまりよくわからない。
 ただ、ダンスにはアイディアがあって面白い。

 演出・振付ジェフ・デイヴィス。

 主演女優クリステン・ディマキュリオ。ガンファイター役マイケル・ハンセイカー。
 

 『Between The Sea And Sky』(8月3日17:00@Acorn Theatre/Theatre Row)は「The 2018 NYMF Award for Best Musical Sponsored by Play-by-Play」ってのを受賞した作品。

 舞台設定は『Kimberly Akimbo』と同じ(笑)1999年。ダイアモンド・ビーチという架空の場所。
 両親が離婚することになって祖母のところに預けられた姉妹が海辺の小さな町で過ごす夏の話。30年前に起きた行方不明事件の謎があり、今また1人友達の姿が消え……という展開の背景に、祖母のところにあった本であるシェイクスピアの『The Tempest』の世界が二重写しになっている。そんな構造。

 作曲・作詞・脚本はオーストラリアのルーク・バーン。楽曲はクラシカルな響きのものからジャズ的なものまで多彩で、情感豊か。
 全作品を観たわけではない(と言うか観たのはほんの一部)ので、これがフェスティヴァル参加作品のベストかどうかは判断できないが、全体に完成度は高く、装置、衣装、照明の色彩感も美しかった。

 演出マイケル・ベロ。振付ジム・クーニー。

 中心になる姉妹の姉サマンサ(サム)役はジェニー・ローズ・ベイカー(『Fiddler On The Roof』)。
 

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