★2005年11月@ニューヨーク(その3)
『Chita Rivera: The Dancer’s Life』(11月24日20:00@Schoenfeld Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。
<前日にプレヴューが始まったばかり。
初演『West Side Story』で名を上げ、今日に到るまでスター・ダンサーとして現役でやってきたチタ・リヴェラの伝記的舞台だが、こちらは(注)本人が自分で語るという『Elaine Stritch At Liberty』と同じスタイル。
脚本テレンス・マクナリー、書き下ろし楽曲スティーヴン・フラハーティ(作曲)&リン・アーレンズ(作詞)、演出・振付グラシエラ・ダニエルの強力布陣(『Ragtime』のチーム/同作のダニエルは振付だけだったが)でツボを押さえてカッチリと作り上げた。
新味はないが、ミュージカル好きを喜ばせる見事なプロたちの仕事。>
(注)同じ渡米時に観た伝記的作品『Jersey Boys』との比較で言っています。
細部は覚えていなかったが、プレイビルに載っている構成を読み返してみたら、なるほどチタの足跡のわかる作りになっていた。参考までに書いてみる。
[第1幕]
Prologue→The White House→Mi Familia Loca→Ballet Class→The Gypsy Life→West Side Story→Co-Stars
[第2幕]
Entr’acte→The Men→Choreographers→The Shows→The White House
「プロローグ」で使われる曲は「Perfidia」。1939年のスペイン語曲。1933年生まれのチタの記憶に残る曲ということだろう。チタはワシントンDC生まれ。母はスコットランドとイタリアの血を引く白人だが、父はプエルトリコ人でアメリカ海軍(ウスナビ!)軍楽隊の木管奏者だった。
2度出てくる「ホワイト・ハウス」の場面は、2002年にケネディ・センター名誉賞に選ばれてブッシュ(息子)大統領に招かれた時のこと。
彼女は同賞を受賞した最初のラテン系アメリカ人。その輝かしい場面で全体を挟んであるわけだが、ここで歌われるのがジェイムズ・テイラーの「Secret O’ Life」。人生の秘密とは時が過ぎていくのを楽しむこと/私たちはしばらくの間ここにいるだけ、といった内容の、ある意味、達観した歌。
次の「私のイカレた家族」と題された場面に書き下ろし曲「Dancing On The Kitchen Table」が入る。アンサンブル6人が加わっていることからして、愉快なダンス・ナンバーだった可能性が高い。
「バレエ教室」の場面の内容はタイトル通りだろう。女性陣4人と子役(チタの子供時代)が出演。
「ジプシー・ライフ」には『West Side Story』以前の出演作からのナンバーが並ぶ(特記なしはブロードウェイ作品)。
年代順に言うと、イレイン・ストリッチ主演のツアー・カンパニー『Call Me Madame』、『Can-Can』(以上2作ではコンチタ・デル・リヴェロ名義)、オフの『The Shoestring Review』、『Seventh Heaven』、『Mr. Wonderful』。
「ウエスト・サイド・ストーリー」の場面で登場する楽曲は、アニタ役に相応しく「A Boy Like That」「Mambo(Dance At The Gym)」「Somewhere」。
次の「共演スター」となってからの場面で採り上げられる作品は、これまた年代順に言うと、『Bye Bye Birdie』、『Sweet Chrity』(ツアー主演)、『Chicago』、『The Rink』。
第1幕最後が「Nowadays」(『Chicago』)で、ここは、亡きグエン・ヴァードンとのデュオ・ダンスの体で、誰もいないチタの右隣(向かって左側)にもピンスポットを当てて踊っている。
第2幕は客入れ音楽の後、「オーディション」「男たち」「振付家たち」と続くが、ナンバーの記載がない「オーディション」と「振付家たち」の詳しい内容は不明。「男たち」の場面にはタンゴ・ナンバーが4曲載っている。
おそらく、この3場面は、ずっと踊っていると思われる(!)。
そしてクライマックスだと思われるザ・ショウズ。
ここは書き下ろし楽曲「A Woman The World Has Never Seen」の中に、カンダー&エブ・ナンバー4曲「Class」(『Chicago』)、「Chief Cook & Bottlewasher」(『The Rink』)、「Kiss Of The Spider Woman」「Where You Are」(『Kiss Of The Spider Woman』)を挟み込んで、メドレーで思い出話を聴かせる構成。最後のナンバー「Where You Are」では男性アンサンブル5人が登場して再現に近いダンスを披露する(YouTubeに上がっている微妙に音がズレた動画で確認(笑))。
最後のホワイト・ハウスは「All That Jazz」(『Chicago』)で締め。
ちなみに、アンサンブルと言いながら、集まっているのは当然ブロードウェイの第一線のダンサーたち。主演クラスで活躍していたディードゥレ・グッドウィン(『Chicago』『Never Gonna Dance』)も出ていた。
“The Chronicle of Broadway and me #425(Chita Rivera: The Dancer’s Life)” への4件のフィードバック