The Chronicle of Broadway and me #573(Nightingale And The Satin Woman/The Greenwood Tree/Whatever Man/The Cure/Mo Faya/Max Understood)

2009年10月@ニューヨーク(その5)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品特集。全16本を3分割して、その1。

 『Nightingale And The Satin Woman』(10月2日13:00@Theatre At St. Clements)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<いわゆる“リーディング”に近い状態の舞台(なので、この演目は無料)。
 お宝を追って世界を駆け巡るフィルム・ノワール風味の冒険劇(のパロディ)といった趣で、きちんと仕上げられたら楽しいのかも、と思わせないでもなかったが、いかんせん未完成すぎ。
 ハーモニーもきちんと定まってない様子。ま、無料ですからね。
 楽曲は、なんと、ジェリー・リーバー&マイク・ストーラー。>

 脚本ウィリアム・コツウィンクル&エリザベス・ガンディ。
 演出トレヴァー・アレクザンダー。


 『The Greenwood Tree』(10月2日16:30@Tank At 45 Street Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<同様に“リーディング”ながら有料だったこの作品は、シェイクスピアの喜劇『As You Like It』(邦題:お気に召すまま)の(部分?)ミュージカル化。
 装置や衣装や振付がないものの、役者は完全にでき上がっていて、歌も演技も見事。>

 作曲・原案ウィル・レイノルズ、作詞(?)・脚本ウィリアム・シェイクスピア。
 演出マシュー・ガーディナー。


 『Whatever Man』(10月2日19:30@Tank At 45 Street Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<引っ込み思案の青年が超前向きな恋人の勧めで集団セラピーに参加すると、そこに集っていたのはスーパー・ヒーローたちで……という話。
 ヒーローもののパロディを装った自己回復の物語、といったあたりがアメリカぽい。
 超能力を持たない主人公が最後に事を収めてヒーローになる、というオチに到る展開は、コメディ仕立てで面白い。>

 作曲・作詞・脚本ベンジャミン・ストロース。
 演出ヒラリー・アダムズ(『Look What A Wonder Jesus Has Done』『Love Jelly』)。振付ダックス・ヴァルデス(『Pinkalicious』)。


 『The Cure』(10月2日22:30@ATA Chernuchin Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<これまでこの題材で成功したミュージカルを観たことのない「吸血鬼もの」。これも残念ながら失敗作。
 冒頭に、100年前の追いつめられた吸血鬼の姿が描かれ、現代ニューヨークの流行りのクラブに舞台が移る。ここが吸血鬼たちの本拠だということは、すぐにわかる。
 で、後は、そこで出会った吸血鬼の女と人間の男との愛、及び、日陰に生きることを旨とする旧来のボスvs.積極的に吸血鬼の世界を広げようとする新興勢力の争い、が平行して描かれるのだが、話のための話な感じで説得力に乏しい。
 楽曲も大仰なばかりで、いただけない。>

 作曲・作詞・脚本マーク・ワイザー。
 演出エリザベス・ルーカス(『Wild About Harry』)。振付シェア・サリヴァン(『Wild About Harry』『Andy Warhol Was Right』『R.R.R.E.D.: A Secret Musical』)。


 『Mo Faya』(10月3日13:00@TBG Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ケニアからの参加作品。
 首都ナイロビのスラムを舞台に、そこで生きる生命力溢れる人々、彼らの心の支えであるスラム出身のDJ、表向きは彼らに親しげだが密かにスラム再開発を目論む不動産業者、その手先のギャング、といった登場人物が。それぞれの思惑を抱えて交錯する。
 表情豊かで躍動感に満ちた楽曲、歌唱、演奏が素晴らしく、コミカルな狂言回しがシリアスな話を飄々と回していく演出もいい。>

 作曲・作詞・脚本エリック・ワイナイナ。
 演出ジョン・シビ=オクム。


 『Max Understood』(10月3日16:30@Tank At 45 Street Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<音楽的にユニークだったのが、これ。
 自閉症(“自閉的”ではなく文字通りの病状)の少年がマックスで、彼の弾く電子音の出るオモチャのキーボードと、客席最前列左端にいる音楽監督の(音源を収納した)PCだけが“楽器”。マックスのキーボード演奏は彼の意思表示でもある(それを両親は自分に都合よく解釈してしまうが)。
 この変わった“楽器”編成が、ハウス・ミュージック的感触を生んで新鮮。それは、そのまま、ひんやりとした作品世界とつながってもいる。
 ある種の家族再生の物語だが、“心温まる”レヴェルで終わらない厳しさがある。>

 作曲・作詞マイケル・ラズベリー、作詞・脚本ナンシー・カーリン。
 演出デイヴィッド・シュヴァイツァー。振付ライアン・ケリー。

The Chronicle of Broadway and me #573(Nightingale And The Satin Woman/The Greenwood Tree/Whatever Man/The Cure/Mo Faya/Max Understood)” への2件のフィードバック

コメントを残す