The Chronicle of Broadway and me #591(Come Fly Away)

2010年3月@ニューヨーク(その2)

 『Come Fly Away』(3月17日14:00@Marquis Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<2002年にビリー・ジョエルの楽曲を使ったダンス作品『Movin’ Out』をヒットさせた振付・演出家トワイラ・サープの新作。
 2006年秋に幕を開けたものの、ひと月もたずに閉幕した(おかげでチケットを買ってあったのに観られなかった)ボブ・ディラン楽曲による『The Times They Are A-Changin’』の失敗を乗り越えて、フランク・シナトラのレパートリーを使うという趣向でブロードウェイに3度目の挑戦。
 今回は、オーケストラの生演奏にシナトラの歌声をシンクロさせるという荒業を採用(2006年夏にロンドンで観た『Sinatra At The London Palladium』がヒントか)。オールド・ファンの心を掴みに出た。マーキーズという観光客向けの劇場も客層としてはピタリ。
 そんなわけで、『Movin’ Out』のようなテーマ性はなく、1950年代を思わせるクラブでの恋の鞘当という設定も、どうと言うことはない。が、楽曲のよさと、冒険的ではないがダンサーたちの個性と技術を生かした熟練の振付とで、全2幕が案外飽きずに観ていられる。>

 タイトルが似ているせいで『Come From Away』と混同してしまいがちだが、それはもっぱら個人的な問題だと思われる。おそらく、こちらを観ている人は少ないだろうから。残念ながら、3月に幕を開けて9月の初めには終わっている。
 前2作同様、原案・脚本もトワイラ・サープ。

 『Movin’ Out』でトニー賞候補になった、ジョン・セルヤ、キース・ロバーツ、アシュリー・タトルが出演。この作品では、やはり『Movin’ Out』にも出ていた、フランス生まれでアルヴィン・エイリー・ダンス・シアターで学んだというカリーヌ・プランタディット(『The Lion King』『Saturday Night Fever』)が同賞にノミネートされている。