The Chronicle of Broadway and me #630(Three Pianos/Golf: The Musical/Pants On Fire’s Metamorphoses)

2011年1月@ニューヨーク(その3)

 オフ作品3本をまとめて。

 『Three Pianos』(1月13日20:00@New York Theatre Workshop)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<ちょっと変わった趣向の舞台。
 雪の山荘に足止めされた3人の青年が 3台のピアノでシューベルトの「冬の旅」(Winterreise)全曲を演奏していく、という設定なのだが、やたらに、いろんな場所に隠してある酒を取り出してガブガブ飲み、しだいに酔っ払って議論を重ね始める。
 その酒がホンモノかどうかは不明なのだが、観客にはあらかじめホンモノのワインが供され、途中のトイレ休憩(出演者がそう言う)では客席にボトルが回される。
 そんなこんなで劇場に不思議な一体感が生まれるわけだが、こうした前衛的と言っていい感触の舞台が、それなりに楽しく展開していくところは、ピアノの演奏力も含め演者の技能の高さがあるからだな、と感心する。>

 脚本・編曲は、出演しているリック・バークハート、アレック・ダフィー、デイヴ・マロイの3人。
 演出は、後に、デイヴ・マロイ作品『Natasha, Pierre & The Great Comet of 1812』『Hadestown』を手がけるレイチェル・チャヴキン。

 [追記]
 シューベルトとその友人たちが主催する「シューベルティアーデ」(SchubertiadeあるいはSchubertiad)と呼ばれるサロン・パーティの雰囲気を再現する意図もあったらしい。
 

 『Golf: The Musical』(1月15日14:00@Midtown Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<2003年にオフで7か月にわたって上演されたことがある(確か日本でも翻訳上演されてたと思う)。その時は未見なので様子がわからないが、今回は、地下にあるレストラン・シアター(と言うかバー・シアター?)での上演。
 出演者4人(男3人女1人)が入れ替わりたち替わり登場してコント的ショウ場面を見せていく、という構成はオフの典型で、再演されるぐらいだから、安定した出来。まあ、ゴルフという題材そのものがユルいと言えばユルいわけで、そういう意味ではスリルはないが。>

 作曲・作詞・脚本マイケル・ロバーツ。
 演出クリストファー・スコット。

 出演者の1人は、2006年のNYMF参加作品『Flight Of The Lawnchair Man』で主演だったクリストファー・サットン。
 

 『Pants On Fire’s Metamorphoses』(1月15日19:00@Flea Theater)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<オウィディウスの同名作品を、第二次大戦下のイギリスに置き替えて音楽劇化したもので、パンツ・オン・ファイアというロンドンの劇団による公演。
 役者が楽器を演奏しながら演技して歌うというスタイルの作品で、劇場もとても小さく(舞台を横切って客席に着く)、六本木の自由劇場を思い出す。……という、いい感じの舞台だったにもかかわらず、途中から時差ボケの睡魔に襲われ、途切れ途切れにしか覚えていない。残念。>

 帝政ローマ時代の詩人オウィディウスの『Metamorphoses』は日本では『変身物語』として知られる。例の、ナルキッソスがスイセンになる話とか、ナルキッソスを愛するエーコーが木霊になる話とか、蝋で固めた翼で空を飛んだイカロスが墜落死する話とかが収められた本。

 作曲・作詞ルーシー・エッガー。原案・脚色・演出ピーター・ブラムリー。

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