The Chronicle of Broadway and me #593(Million Dollar Quartet)

2010年3月@ニューヨーク(その4)

 『Million Dollar Quartet』(3月19日20:00@Nederlander Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

『Million Dollar Quartet』と言えば、サン・レコーズの輩出した、エルヴィス・プレスリー、ジョニー・キャッシュ、カール・パーキンス、ジェリー・リー・ルイスによる同名の幻のセッション音源で知られるが(真偽不明の部分あり)、これは、そのセッションの一夜を描いた作品。
 芸達者ハンター・フォスターを狂言回し的役割のサン・レコード社主に据えて、なんとかドラマの体裁を保っているが、基本は“そっくりショウ”。
 その意味では、よくできているが、高いチケットを買って観るブロードウェイの舞台に乗せるものかどうか。>

 舞台を引っ張ったのは、ジェリー・リー・ルイスに扮したリーヴァイ・クライスの狂気を感じさせる演技と演奏。トニー賞で助演男優賞を受賞した。
 全体の編曲は音楽監督のチャック・ミードが手がけているが、元々ミュージシャンでもあるクライスもアディショナル・アレンジメンツでクレジットされていることからして、彼自身の演奏部分は本人主体で編曲されている可能性がある。

 原案フロイド・マトラックス。脚本コリン・エスコット&フロイド・マトラックス。
 演出エリック・シェイファーa.k.a.エリック・D・シェイファー(『Putting It Together』『The Witches Of Eastwick』『Glory Days』)。オリジナル演出としてフロイド・マトラックスのクレジットがある(2006年から2008年にかけてのフロリダ~ワシントン公演の演出、及び、2008年に始まったシカゴ公演のシェイファーとの共同演出、ということらしい)。
 このブロードウェイ版は、3月13日プレヴュー開始、4月11日に正式オープンで翌年6月まで続き、同年7月からオフに移って、さらに1年ほど上演された。