The Chronicle of Broadway and me #787(Bayonets Of Angst/210 Amlent Avenue/As We Lie Still/The Snow Queen)

2014年7月@ニューヨーク(その7)

 NYMF(ニューヨーク・ミュージカル・シアター・フェスティヴァル)参加作品13本を3分割して、その3。

 『Bayonets Of Angst』(7月13日20:00@Ford Foundation Studio Theatre/Pershing Square Signature Center)のタイトルを直訳すると「不安な銃剣」。その真面目くさったタイトルに反して、内容は、おふざけに徹したコメディ。
 南北戦争の生き証人の話から実際の戦争がどんなものだったかを再現しよう、という趣向をナレーターが説明。その生き証人たちが、とんでもない高齢で、混濁した記憶から再現される南北戦争は支離滅裂になっていく。……という話だったような。こちらの記憶も混濁気味(笑)。

 作曲リック・クンジィ&アダム・バーノスキー、作詞リック・クンジィによる楽曲は、南北戦争の時代を反映してか、サウンドはほぼ純粋なブルーグラス。
 脚本リック・クンジィ&ジャズティン・ゼッパ。
 演出マイケル・ルベレス。

 J・ロバート・スペンサー(『Side Show』『Jersey Boys』『Next To Normal』)、ハーンドン・ラーキー(『Kiss Of The Spider Woman』『Parade』『LoveMusik』)、ブライアン・チャールズ・ルーニー(『The Threepenny Opera』)といった人たちが出ていた。
 

 『210 Amlent Avenue』(7月14日16:00@Studio Theatre/Theatre Row)はリーディング上演。翌年のNYMFで完全版が上演されたようだ。
 ザ・ハンプトンズと呼ばれるニューヨーク州ロングアイランドの高級住宅地の一角、210アムレント・アヴェニューに立つ屋敷を舞台にした物語。引退した女優が、ブロードウェイの演出家だった亡夫を偲ぶ名目で親しい人を集めて食事会を催す。そこに若い友人である詩人が訪れ、彼の亡き両親についての秘密を知りたいと乞うことで、思いもよらない事実が明らかになっていく。
 という実に魅力的な展開なのだが、ほとんど覚えていない。リーディングなだけに、よくわからなかった可能性が高い(苦笑)。

 作曲・作詞カール・ハインズ。シンプルだがロマンティックな響きの楽曲が多かった印象がある。
 脚本ベッキー・ゴールドバーグ。
 演出サマンサ・ソルツマン。

 引退女優を演じたのはロビン・スカイ(『Cyrano: The Musical』『Parade』)。
 

 『As We Lie Still』(7月14日18:00@PTC Performance Space)は、19世紀から20世紀に変わる頃にニューヨークで活躍したというマジシャン、アヴィ・ライターの物語。
 若き日の苦難と栄光を、年老いて世間から忘れられた本人が振り返る、という構成。アシスタントだった女性、ジョセフィーヌとの人間関係が話の核になっていく。
 作品タイトルは、おそらく、マジックのショウで静かに横たわったアシスタントが中空に浮かんでいるような状態と、「死ぬ」こととをかけているのだと思う。

 作曲・作詞パトリック・エミール。楽曲は題材に相応しく、哀愁を帯びて劇的。
 脚本のオリヴィア・デ・ガズマン・エミールは、当時のパトリックの細君だろう(現在は名前からエミールが取れているようだ)。でもって、彼女はジョセフィーヌを演じてもいる。
 演出・振付のマイケル・セレキアは『A Chorus Line』初演のブロードウェイ・オリジナル・キャスト。
 

 『The Snow Queen』(7月14日20:00@Alice Griffin Jewel Box Theatre/Pershing Square Signature Center)は、映画『Frozen』(2013年)の翌年にこの題材の舞台を作るのか、と当時思った記憶がある。ま、あちらは別の話になっているけど。
 原作はもちろんハンス・クリスチャン・アンデルセンで、大筋は原作に近いが、現代的な意匠で描かれている部分もあり、楽曲はロック的。チープだがスペクタクルなアイディアもあり、全体にユーモラスでもある。

 作曲ハドン・カイム、作詞カーステン・ブラント&ハドン・カイム&リック・ロンバード。
 脚本カーステン・ブラント&リック・ロンバード。
 演出・振付リック・ロンバード。

 雪の女王役はジェイン・プフィッチ(2014年リヴァイヴァル『Cabaret』)。

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