2000/2001シーズンのトニー賞の予想と結果を再録します(過去シーズンはこちら→1997/1998/1998/1999/1999/2000)。
旧サイトに別々に書いた「予想」と「結果と感想」とを同時にアップしますので、全体に若干編集してあります(<>内)。ただし、予想や感想の内容には手を加えていません。
下は予想と結果の一覧(◎☆は予想時のマーク。ニュアンスは、◎本命=審査員が投票しそう、☆対抗=案外これが獲るかも/獲ってくれないかな、といった感じ)。
[作品賞]
The Producers ◎☆ →受賞
The Full Monty
A Class Act
Jane Eyre
[リヴァイヴァル作品賞]
42nd Street ◎ →受賞
Follies
Bells Are Ringing ☆
The Rocky Horror Show
[主演女優賞]
Randy Graff A Class Act
Christine Ebersole 42nd Street →受賞
Faith Prince Bells Are Ringing ◎☆
Marla Schaffel Jane Eyre
Blythe Danner Follies
[主演男優賞]
Nathan Lane The Producers ◎☆ →受賞
Matthew Broderick The Producers
Tom Hewitt The Rocky Horror Show
Patrick Wilson The Full Monty
Kevin Chamberlin Seussical
[助演女優賞]
Cady Huffman The Producers →受賞
Polly Bergen Follies
Kate Levering 42nd Street
Mary Testa 42nd Street
Kathleen Freeman The Full Monty ◎☆
[助演男優賞]
Gary Beach The Producers ◎☆ →受賞
Roger Bart The Producers
Andre De Shields The Full Monty
John Ellison Conlee The Full Monty
Brad Oscar The Producers
[演出賞]
Susan Stroman The Producers ◎☆ →受賞
Jack O’Brien The Full Monty
Christopher Ashley The Rocky Horror Show
Mark Bramble 42nd Street
[振付賞]
Jerry Mitchell The Full Monty
Jim Moore, George Pinney and John Vanderkloff Blast!
Randy Skinner 42nd Street
Susan Stroman The Producers ◎☆ →受賞
[楽曲賞]
Mel Brooks The Producers →受賞
Ed Kleban A Class Act ☆
David Yazbek The Full Monty ◎
Paul Gordon and John Caird Jane Eyre
[脚本賞]
Mel Brooks and Tom Meehan The Producers ◎ →受賞
Terrence McNally The Full Monty
John Caird Jane Eyre
Lonny Price and Linda Klein A Class Act ☆
[編曲賞]
Doug Besterman The Producers ◎ →受賞
Larry Hochman A Class Act
Jonathan Tunick Follies
Harold Wheeler The Full Monty ☆
[装置デザイン賞]
Bob Crowley The Invention Of Love(play)
Heidi Ettinger The Adventures Of Tom Sawyer ◎☆
Douglas W. Schmidt 42nd Street
Robin Wagner The Producers →受賞
[衣装デザイン賞]
Theoni V. Aldredge Follies◎☆
Roger Kirk 42nd Street
William Ivey Long The Producers →受賞
David C. Woolard The Rocky Horror Show
[照明デザイン賞]
Jules Fisher & Peggy Eisenhauer Jane Eyre ◎☆
Paul Gallo 42nd Street
Peter Kaczorowski The Producers →受賞
Kenneth Posner The Adventures Of Tom Sawyer
★予想
<今シーズンは全体に低調。昨年(2000年)末の時点では、とりあえず『The Full Monty』はあるものの今度のトニー賞はどうなるんだろうと心配したが、春になって『The Producers』が登場。なんとか形になった。
成功、失敗はともあれ、毎年必ず1、2本はある野心的、冒険的な作品もないので(あえて言えば『A Class Act』か)、賞レースが、興行的にも群を抜いているオーソドックスな成功作『The Producers』を中心に動くことは、まず間違いない。逆に言うと、意外な受賞というのは少ない、という読み。なもんで、今回、多くの部門で、受賞予想と僕の投票とを一致させるという暴挙に出た(笑)。この2つを振り分けておくと的中率が倍になるのだが……、まあ、面白くするためってことで(笑)。
しかし、『Blast!』のノミネーションにはマイッた。すっかり油断して、この限定公演、観逃した。と言うより、あえて観ませんでした(笑)。
[作品賞]は『The Producers』以外にあり得ない。対抗は『The Full Monty』だが、かなり水があいている。個人的には『A Class Act』も推したいが、ここは素直に本命で行こう。
[リヴァイヴァル作品賞]は、派手な宣伝の『42nd Street』が有力。芸術点で言えば『Follies』という線もあるが、ややもったいぶりすぎか。
個人的1票は、心温まる『Bells Are Ringing』に。もちろん、フェイス・プリンスの名演も加味して。
[主演女優賞][主演男優賞]は、それぞれ、フェイス・プリンス、ネイサン・レインの『Guys And Dolls』コンビで1本勝負!
プリンスに対抗馬がいるとすれば、ランディ・グラフ。……なのだが、今回は1人で舞台を引っ張ったプリンスで決まり。レインはぶっちぎり。
ところで、『Seussical』はなぜこの人が主演なの?
[助演女優賞]と[助演男優賞]も1本勝負で行ってしまうというのは、大胆すぎか(笑)。
対抗は、女優が『The Producers』のお色気秘書キャディ・ハフマン、男優は『The Full Monty』の意外性の男アンドレ・ド・シールズか。
[演出賞][振付賞]も、スーザン・ストロマンのダブル受賞で1本勝負。って、ここまでやると、単に考えるのがめんどくさいのかという疑問も(笑)。
でも、演出は2年続けて外してるからなあ。ダークホースで『The Rocky Horror Show』の可能性もありか。
振付が『Blast!』に行ったら、ごめんなさいだ。
[楽曲賞]も『The Producers』に行かないとは言い切れないのだが、『The Full Monty』に行くとすればここだし、オリジナリティという点から言えば実際のところこちらが上。個人的には、ランディ・グラフの歌う「Next Best Thing To Love」(『A Class Act』)に1票。
『Jane Eyre』? まさか。
[脚本賞]は、元に自作の映画があるとはいえ、かなり舞台的に書き直されて面白さが増している『The Producers』が獲るんじゃないか。『The Full Monty』は映画よりよくなったとは言いがたい。個人的には、今シーズン唯一と言っていい、一から作り上げたオリジナル作品『A Class Act』を推す。
『Jane Eyre』? 労作だけど、ね。
[編曲賞]は、テーマ曲「Springtime For Hitler」を随所にちりばめて効果を高めた、という意味で『The Producers』。個人的には、『The Full Monty』の現代感覚を支持。
[装置デザイン賞]に関してだけは、『The Adventures Of Tom Sawyer』のアイディアが秀逸。と言いつつ、ここでも『The Producers』は充分に対抗馬になり得るのだが。ストレート・プレイ『The Invention Of Love』は未見。ご容赦あれ。
[衣装デザイン賞]。『Follies』が獲るとしたら、ここ。ライヴァルは『The Producers』(笑)。
[照明デザイン賞]は、装置で候補にならなかった『Jane Eyre』。逆に、なぜ『Follies』はここで候補にならなかったのだろう。
大胆すぎる今回の予想、はたしていくつ当たるやら。>
★結果と感想
<いやあ、ここまで『The Producers』が欲張っちゃうとは! 驚きであると同時に、それでも文句のつけようがないところに、今シーズンの全般的な不調が表れてるってことだ。
しかし、装置、衣装、照明も持っていくとはねえ。
唯一の不満は、『The Producers』との争いがなかった[主演女優賞]がフェイス・プリンスに行かなかったこと。ホントにあのドロシー役でいいの?
受賞予想◎で8個当たり。今回は個人的投票☆をほとんど受賞予想と同じにしたので、結局8勝6敗の勝ち越し(笑)。冒険した割にはまあまあ、ってとこでしょうか。>
結局、『The Producers』以外の受賞は『42nd Street』の2つだけ。『The Full Monty』は10部門で候補になりながら受賞ゼロだった。この辺が巡り合わせ。
それにしても、『42nd Street』におけるクリスティン・エバーソール(ドロシー役)を個人的にまるで評価していないのが、今となっては自分でも面白い。
ちなみに、ダンサー付きのマーチング・バンド・パフォーマンスである『Blast!』は、振付賞は逃したが、「Special Theatrical Event」賞という特別賞を受賞している。
“[Tony2001] 予想/結果と感想(season summary)” への22件のフィードバック