The Chronicle of Broadway and me #815(Gigi)

2015年4月@ニューヨーク(その5)

 『Gigi』(4月5日14:00@Neil Simon Theatre)について旧サイトに書いた観劇当時の感想(<>内)。

<初演は1973年。元は前月観た『An American In Paris』と同じくアーサー・フリード製作の1958年MGMミュージカル映画(邦題:恋の手ほどき)。映画版のヒロインはどちらもレズリー・キャロン。

 20世紀初頭のパリ。ジジという奔放なところのある娘の社交界デビューまでの、周囲の人たちも含めた恋の話。
 フレデリック・ロウ(作曲)+アラン・ジェイ・ラーナー(作詞・脚本)による、もう1つの『My Fair Lady』という理解でいいのではないかと思うが、あちらほどのジェンダーに対する批評性もなく、この価値観、今の感覚ではかなり疑問。

 役者では、ディー・ホッティ、ヴィクトリア・クラークの揃い踏みが贅沢。
 ジジ役のヴァネッサ・ハジェンズはディズニー・チャンネルの『High School Musical』出身。

 第2幕終盤のシャンパンのダンス・シーンは見応えがある(トニー賞授賞式でやってましたね)。
 演出エリック・シェイファー。振付ジョシュア・バーガッシー。>

 映画の原作になったのはコレット(シドニー=ガブリエル・コレット)の同名小説。実は、映画化より前の1951年にブロードウェイでストレート・プレイとして舞台化されていて、オードリー・ヘプバーンが主演している。ウィキペディアによれば、彼女を抜擢したのはコレット自身らしい(その3年後に没する)。
 ちなみに、原作小説を未読なので推測にすぎないが、コレットは「「性の解放」を叫び、同性も対象とした華麗な恋愛遍歴で有名」な人だったらしいから(by ウィキペディア)、映画化の際に「もう1つの『My Fair Lady』」的な作品にしたのはアラン・ジェイ・ラーナーだったのかもしれない。だとしたら指示したのはアーサー・フリードだろう。

 ディー・ホッティのこれ以前の主な出演ミュージカルは『City Of Angels』『The Will Rogers Follies』『The Best Little Whorehouse Goes Public』『Footloose』『Bye Bye Birdie』
 ヴィクトリア・クラークはご承知の通り、2022/2023シーズンの話題作『Kimberly Akimbo』に出演中。
 他に、ジジに恋する若者役コーリー・コット(『The Bandstand』)、映画版でモーリス・シュヴァリエの演じた老年紳士役はファントム役で知られるハワード・マッギリン(『Anything Goes』『She Loves Me』他多数)ら。