The Chronicle of Broadway and me #537(Pal Joey)

2008年11月@ニューヨーク(その6)

 『Pal Joey』(11月21日20:00@Studio 54)

<トニー賞のミュージカル作品賞が『Billy Elliot: The Musical』だとしたら、リヴァイヴァル作品賞はこれか、と思わせたのが『Pal Joey』
 1940年初演のロジャーズ&ハート(作曲リチャード・ロジャーズ×作詞ロレンツ・ハート)作品で、初演の主演がジーン・ケリー、映画版(邦題『夜の豹』)主演がフランク・シナトラ。今回その役を演じるのは『Jersey Boys』でトニー賞助演男優賞を得たクリスチャン・ホフ。野心家で浮気なソング&ダンス・マンになりきって、出づっぱりの大活躍。
 苦い内容を引き立てる装置や照明が見事で、充実した舞台に仕上がっている。>

 「I Could Write A Book」「Bewitched, Bothered, Bewildered」といった名曲を生んだのが、この作品。

 トニー賞に関しては、この後、強力なライヴァルが続々登場して無冠に終わる。
 公演自体もトニー賞授賞式を迎えることなく翌年3月にクローズするが、正式オープン(12月18日)の時点で主演が、クリスチャン・ホフから、プレヴュー期間のアンダースタディだったマシュー・リッシュに交代するなど(一応ホフの足のケガが原因とされているが)、どうもプロダクション内のゴタゴタがあった様子。残念。

 初演のジョン・オハラの脚本を、ストレート・プレイ『Take Me Out』で知られるリチャード・グリーンバーグが脚色。
 演出ジョー・マンテロ(『Love! Valour! Compassion!』『Proposals』『A Man Of No Importance』『Wicked』『Assassins』『Laugh Whore』)、振付グラシエラ・ダニエル(『Once On This Island』『Marie Christine』『The Glorious Ones』他多数)。

 主な出演者は、上記の主演2人の他に、ストッカード・チャニング、マーサ・プリンプトン。この女優陣、出演作を見る限り基本的にはストレート・プレイの人たちのようだ。