The Chronicle of Broadway and me #137(I Love You, You’re Perfect, Now Change/When Pigs Fly)

19971月@ニューヨーク(その5)

オフで観た、違ったタイプのレヴュー形式ミュージカル2つ。

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『I Love You, You’re Perfect, Now Change』(1月8日14:30@Westside Theatre)は、後に日本で翻訳上演されていたが、その際のタイトルが確か、「Now Change」を抜いたものだった。「Now Change」がなければシャレにならないと思うのだが。てか、それ以前に、同じ発想でオリジナルを作れば? と思ったものだ。以下、当時の感想。

『I Love You, You’re Perfect, Now Change』は、夫婦の半生を綴った2人ミュージカル『I Do! I Do!』の前哨戦的内容。男女の結婚に到るまでの意識のすれ違いを、歌入りのスケッチとして描いている。

男女2人ずつが演じるが、スケッチはそれぞれ独立していて、役柄もそのたびに違う。一応、出会いから結婚までが時間軸に沿って描かれるが、一貫したストーリーがあるわけではない。
言ってみれば音楽入りコント集のようなもの。
だから、気楽に観ていられるかわりに気分が盛り上がっていくこともない。
楽曲も決定打に欠け、切り口も常識的なので、役者の熱演の割には物足りなさが残った。

脚本・作詞ジョー・ディピエトロ、作曲ジミー・ロバーツ、演出ジョエル・ビショッフ。>

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『When Pigs Fly』(1月10日20:00@Douglas Fairbanks Theatre)のダグラス・フェアバンクス劇場も、並びにあった『Curtains』のジョン・ハウスマン劇場同様、再開発のためになくなっている。

<ハワード・クラブトゥリー、マーク・ウォルドロップの発案による『When Pigs Fly』は、ある種のバックステージもの。

少年ハワードの夢は舞台でスポットライトを浴びることだったが、教師からは、そんなことが実現したらブタが空を飛ぶわよ、と嘲笑される。
が、風変わりなゲイの男たちと一緒に舞台に立ったハワードは、見事にショウを成功させ、ブタも空を飛ぶ。

導入部こそハワードの回想があるが、後は彼らのショウの表裏、その一部始終を同時進行で見せるという趣向。ドタバタの背景に、ショウ・ビジネスに生きる人々の悲哀と情熱もギャグに混入する形で描かれ、大笑いしているうちにジーンと来たりもする、なかなかの仕上がり。
により、ショウ場面がしっかり作られているのがいい。

奇抜にして美しい衣装(ハワード・クラブトゥリー)が次々に登場するのがショウの目玉でもあるが、それらに彩られた5人の男たちが歌に踊りにそれぞれ個性を発揮。達者なところを見せて楽しませてくれる。この役者の層の厚さ!
中でも、ハワード役のマイケル・ウェストには特有の華があり、目が離せない感じがした。

楽曲(作曲ディック・ギャラガー、作詞マーク・ウォルドロップ)も、曲想が豊かで楽しい。残念ながら歌詞の面白さまではつかまえきれなかったが。

ハワード・クラブトゥリーは、昨年6月、このショウのオープンを2か月後に控えて亡くなっている。その5日前に全ての衣装デザインを終えたという。享年41歳。>

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主演のマイケル・ウェストは『Forbidden Broadway』シリーズの常連。個人的にはオフ・ブロードウェイのスターだと思っている。

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